①問題とする差別の特定
②14条が法内容の平等も要求しているか(通常は省略可。)
③14条の平等が相対的平等であること(合理的差別を許容すること)の論述
④合理的差別かどうかの判断基準の定立 ←ココ
⑤あてはめ ←ココ
③14条の平等が相対的平等であること(合理的差別を許容すること)の論述
④合理的差別かどうかの判断基準の定立 ←ココ
⑤あてはめ ←ココ
⑥結論 ←ココ
の解説です。)
4 審査基準の定立
(1)基準定立の論拠について
平等権侵害の審査基準定立の際には、主に、①属性の性質、②差別を受けることとなる権利の重要性、③立法裁量の広狭、等を考慮します。
ア ①について
ここは、平等権特有の論拠です。具体的には、後段列挙事由に当たる属性に基づく差別的取り扱いの場合には原則として基準を厳しくするべき、という方向での論拠として考慮します。
このように基準を厳しくすべきであるといえる理由は、端的に言うと、「かつて不合理な差別をされてきた事由だから、多分、今回も不合理な差別なのだろう」ということです。もう少し丁寧に言うと、「後段列挙事由の各属性は、歴史的に不合理な差別がされてきた属性であり、これに着目した差別は、不合理である可能性が高いから、その合憲性はより厳しく審査すべき」ということです。
この点は平等権特有の論拠となるので、忘れずに書く必要があります。
実際に書く際には、「後段列挙事由に該当するかどうか」、また、「(列挙事由そのものには該当しないとしても)歴史的に不合理な差別がされてきた事由かどうか」、といった点に着目して基準を厳しくする/緩める論拠として提示していくことになります。
イ ②③について
上記①に対して、②権利の重要性、③立法裁量については、通常の自由権の審査基準定立の論拠と概ね同様です。
重要な権利への差別が生じるのなら基準を厳しく、立法裁量が広いのなら基準を緩く、といった形で議論の方向性を導き出すことになります。
(2)定立する基準について
最低限度の合格答案を書く、という観点からは、基本的に、通常の自由権の場合の目的手段審査の基準とパラレルに考えればよいです。
具体的には、例えば、①当該差別を設ける目的が必要不可欠であり、かつ②当該差別を設けることが目的達成のために必要最小限度の手段といえる場合に限って合憲とする、といった基準です。
ここで注意が必要なのは、問題としているのは、「差別(ある属性に着目して取り扱いを異にしていること)」であり、「権利を制約していること」そのものではない、ということです。つまり、「権利制約自体」の目的手段の合理性を問題としているのではなく、「権利(制約)に差を設けていること」の目的手段の合理性を問題としている、ということです。
この点の理解を誤ると、あてはめの際に「差を設けること」ではなく「権利を制約すること」の目的手段の合理性を検討してしまうことにもなりかねないので、注意しなければなりません。
例えば、平等権侵害の審査基準で、「本件権利制約の目的が必要不可欠であり、かつ本件権利制約が必要最小限の手段といえる場合には合憲となる」といった書き方は誤りになります。(「差を設けていること」の合理性を検討できる基準となっていないからです。)
5 あてはめについて
(1)目的審査
上記のとおり、「差別を設ける目的」の合理性を検討することになります。
例えば前記の改正前民法900条4号但書の問題であれば、「非嫡出子の法定相続分を(絶対量として)減らす」ということではなく、「非嫡出子の法定相続分と嫡出子のそれとに差異を設けること」の目的の合理性を論じることになります。
この例で言えば、「法律婚の尊重」といった目的が考えられるので、このような目的の合理性を論じることになります。
(2)手段審査
上記のとおり、「そのような差異を設けるという手段」の相当性を検討することになります。
例えば上記の改正前民法900条4号但書の問題であれば、(1)と繰り返しになりますが、「非嫡出子の法定相続分を(絶対量として)減らす」ということではなく、「非嫡出子の法定相続分と嫡出子のそれとに差異を設けることとした」という手段の相当性を論じることになります。
この例で言えば、「非嫡出子の法定相続分を相対的に減らしたところで、その不利益は親ではなく子にかかるものであるから、親が法律婚をするようにとの誘因にはなりにくいし、非嫡出子の発生防止に資するものでもない。よって、前記目的達成のための手段としてそもそも役立たない。したがって、手段の相当性は認められない」などといった書き方をしていくことが考えられます。
6 結論
これは単純に、自身の基準であてはめをした結果を宣言すればよいです。
(次の記事では、答案の定型フォーム例を紹介します。)
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