(前の記事の続きです。→その1はこちらです。)
4 形式論理性にあまり厳密にはこだわらないこと
論証する際には、厳密な三段論法だけを重ねて結論を導ける場面ばかりではありません。「『AならばB』『BならばA』『A=B』の違い」など、厳密な形式論理性に目が行き過ぎると書きづらくなってくることもあるかもしれません。
例えば、典型的なところでは、憲法(法令違憲)の違憲審査基準の定立です。
権利の性質や規制態様を云々してみたところで、「目的が必要不可欠で、手段が必要最小限度(☆)」などという基準自体を引き出すことは困難です。
権利が重要だから厳しく審査すべき、ということは言えるでしょうし、☆は厳しい基準である、ということも言えるでしょう。しかし、「厳しい基準ならば☆である(厳しい基準は☆のみである)」とは言えません(「逆」も「真」とは限りません)から、権利の重要性などを起点にいくら三段論法を重ねたところで、「だから☆の基準を採用することが必然である」というような一義的な論証はできません。
4 形式論理性にあまり厳密にはこだわらないこと
論証する際には、厳密な三段論法だけを重ねて結論を導ける場面ばかりではありません。「『AならばB』『BならばA』『A=B』の違い」など、厳密な形式論理性に目が行き過ぎると書きづらくなってくることもあるかもしれません。
例えば、典型的なところでは、憲法(法令違憲)の違憲審査基準の定立です。
権利の性質や規制態様を云々してみたところで、「目的が必要不可欠で、手段が必要最小限度(☆)」などという基準自体を引き出すことは困難です。
権利が重要だから厳しく審査すべき、ということは言えるでしょうし、☆は厳しい基準である、ということも言えるでしょう。しかし、「厳しい基準ならば☆である(厳しい基準は☆のみである)」とは言えません(「逆」も「真」とは限りません)から、権利の重要性などを起点にいくら三段論法を重ねたところで、「だから☆の基準を採用することが必然である」というような一義的な論証はできません。
そこで、このように厳密な三段論法による一義的な論証が難しい場面では、そのような論証は諦めて、「方向性に着目した論証」をしていくことになります。「その基準を採用する厳密な論拠はないけれども、そのような厳しい方向性の基準を採用する論拠を挙げる」ということです。
例えば、実際の書き方としては、「権利が重要だから厳しく審査すべき。規制態様が強いから、この点からも厳しく審査すべき。よって厳しい基準である、『目的が必要不可欠、手段が必要最小限度の基準』を用いるべき」といったものになります。下線部のキーワード(方向性)がリンクしていることが確認できると思います。
このように、論点の性質によっては、形式論理性(厳密な三段論法)にあまりこだわり過ぎないようにすることも重要です。
5 まとめ
以上述べてきたとおり、論理的に書く、ということは、キーワードをリンクさせて三段論法だけを繰り返して結論を導く、ということです。
しかし、上記4で触れたとおり、形式論理性(厳密な三段論法)に意識を向けすぎると書きづらくなる場合もあるので、答案作成上は、キーワードのリンクのほうに意識を向けて書くのが良いでしょう。
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