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3 再現答案、参考答案の読み方①・・答案の法理論的な骨組みの把握
(1)概要
答案の法理論的な骨組みを把握するために、答案例を読む際にお勧めするのは、「再現答案・参考答案のどこに何が書かれているのかについて、全て見出しを付けてみる」ということです。
(2)見出しを付けるメリット
再現答案・参考答案はあくまで「その問題についての」答案ですから、その答案の表現を一字一句覚えても意味がありません。しかし、答案には、「法適用の基本構造」や「人権処理の手順」等、議論の大きな流れ(法理論的な骨組み)、というものがあります。
参考答案等を読んだときに、どのような法理論上のパーツが答案に書かれているのか、また、それが答案上のどこに書かれているのかを理解できているのならば、見出しが付けられるはずです。逆に、見出しが付けられるのであれば、どこに何が書かれているのかを理解できている、ということが確認できます。
(1)概要
答案の法理論的な骨組みを把握するために、答案例を読む際にお勧めするのは、「再現答案・参考答案のどこに何が書かれているのかについて、全て見出しを付けてみる」ということです。
(2)見出しを付けるメリット
再現答案・参考答案はあくまで「その問題についての」答案ですから、その答案の表現を一字一句覚えても意味がありません。しかし、答案には、「法適用の基本構造」や「人権処理の手順」等、議論の大きな流れ(法理論的な骨組み)、というものがあります。
参考答案等を読んだときに、どのような法理論上のパーツが答案に書かれているのか、また、それが答案上のどこに書かれているのかを理解できているのならば、見出しが付けられるはずです。逆に、見出しが付けられるのであれば、どこに何が書かれているのかを理解できている、ということが確認できます。
したがって、見出しを付けることで、「答案のどこで何の議論がされているのか」(議論の骨格)を明確に整理することが可能となります。
そして、このように議論の骨格を整理することができれば、それを覚えれば、同種の骨組みで論じる問題において、自分でもそれが再現(真似)できるようになります。
このような理由から、見出しを付けながら参考答案を読む、ということをお勧めします。
(3)見出しの付け方の具体的イメージ
ア 一般論
上記のメリットが得られるようにするために、基本的に、「答案の議論の、法理論的な大きな流れがわかるような見出し」を「一言で」考えればよいです。例えば
(3)見出しの付け方の具体的イメージ
ア 一般論
上記のメリットが得られるようにするために、基本的に、「答案の議論の、法理論的な大きな流れがわかるような見出し」を「一言で」考えればよいです。例えば
・「請求の法的根拠」「要件の指摘」「規範定立」「あてはめ」「結論」といった、法適用の基本構造に沿った整理
・「問題とする自由の特定」「権利性」「権利制約」「公共の福祉等の指摘」「審査基準定立」「あてはめ:目的審査」「あてはめ:手段審査」「結論」といった、人権処理の手順に沿った整理
などです。
どのような見出しを付けるかについては、当ブログで紹介している各科目ごとの「〇〇答案の基本構造」等を参照したり、いろいろな答案を読んでいく中で各人で作っていくのが良いです。
などです。
どのような見出しを付けるかについては、当ブログで紹介している各科目ごとの「〇〇答案の基本構造」等を参照したり、いろいろな答案を読んでいく中で各人で作っていくのが良いです。
イ 見出しの付け方の具体例
例えば、以下のような刑法答案を考えます。よくある住居侵入の検討です。(理解のため、少し細かすぎる書き方をしています。)
*****参考答案の記述例*************
1 甲がV宅に立ち入った行為について
この行為について、住居侵入罪(刑法130条)が成立しないか検討する。
同罪の要件である「侵入」とは、住居権者の意思に反する立ち入りを言うものと解する。
本件で甲は、V殺害の目的を持ってV宅に立ち入っている。ここで、通常、人は自身を殺害する目的の立ち入りを受け入れない、という経験則に照らせば、本件甲の立ち入りは、Vの意思に反していたものと言える。したがって、甲の立ち入りは、『侵入』にあたる。
よって、住居侵入罪が成立する。
**************************
この答案を、各パーツごとに分けて見出しを整理すると、
この答案を、各パーツごとに分けて見出しを整理すると、
・「1 甲がV宅に立ち入った行為について」・・・①行為の特定
・「この行為について、住居侵入罪(刑法130条)を成立しないか検討する。」・・・②法的根拠の指摘
・「同罪の要件である『侵入』とは、」・・・③要件の指摘
・「住居権者の意思に反する立ち入りを言うものと解する。」・・・④規範定立
・「本件で甲は、V殺害の目的を持ってV宅に立ち入っている。ここで、通常、人は自身を殺害する目的の立ち入りを受け入れない、という経験則に照らせば、本件甲の立ち入りは、Vの意思に反していたものと言える。したがって、甲の立ち入りは、『侵入』にあたる」・・・⑤本件あてはめ
・「よって、住居侵入罪が成立する」・・・⑥結論の宣言
という流れになります。
という流れになります。
答案集を見るときは、少なくともこの程度くらいには記述を分析して読んでいくと良いです。
(このように文章で説明すると大変な手間のような気がしますが、実際には、参考答案の該当箇所ごとに、横の空きスペースに「規範定立」などと一言書き込めば足ります。また、慣れればそもそも実際に参考答案に書き込む必要すらありません。)
(このように文章で説明すると大変な手間のような気がしますが、実際には、参考答案の該当箇所ごとに、横の空きスペースに「規範定立」などと一言書き込めば足ります。また、慣れればそもそも実際に参考答案に書き込む必要すらありません。)
ウ 補足・・見出しの細かさについて
「あてはめ」のやり方について重点的に勉強するために上記の答案例を読む際は、上記のあてはめ部分をもっと細かく分析し、
・本件で甲は、V殺害の意思を持ってV宅に立ち入っている。(⑤a あてはめ:本件事実の指摘)
・ここで、通常、人は自身を殺害する目的の立ち入りを受け入れない、という経験則に照らせば、(⑤b あてはめ:事実評価ー根拠となる経験則の指摘)
・本件甲の立ち入りは、Vの意思に反していたものと言える。(⑤c あてはめ:事実評価ー事実から何が言えるかの指摘)
・したがって、甲の立ち入りは、『侵入』にあたる(⑤d あてはめ:規範に文字通り当てはまることの宣言)
というくらいまでバラバラに分析して読むのが良いでしょう。
要するに、「今、何に重点を置いて勉強したいか」に合わせて、どこまで細かい見出しを付けるかを決めればよいわけです。
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(4)「合わない答案」について
なお、答案の書き方は一通りではありませんから、自分の頭の中での整理とはなじみにくい書き方をしている答案に出会うこともあるかと思います。
このような場合、合わない答案にはあまりこだわりすぎないようにして、同じ問題/類題について書かれた「他の参考答案」も見てみると良いです。(特に本試験再現答案なら他の答案例には事欠きません。)
そして、いくつかの答案を見て、自分の整理と合致しやすいものから参考にしていけばよいです。
(※ただし、多くの答案が自分の整理と異なる書き方をしているのならば、それは自分の整理の方がおかしいことを疑うべきです。このような場合は、テキスト等で基本事項を確認したうえで、出題の趣旨や解説等で、論じるべき内容や議論の流れを再度確認すべきです。)
(次のページに続きます。)
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